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生物物理若手の会夏の学校2014 | プログラム

summer school

生物物理若手の会 第54回夏の学校(8/8〜8/11)

MY BIOPHYSICS YOUR BIOPHYSICS 〜君と学会したい〜

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Objective

生物物理若手の会 夏の学校は 1961年に大沢文夫(名古屋大学名誉教授)らによって創設された。当会は、生物物理学を専攻している(あるいは興味を持っている)全国の大学生・大学院生・研究者を対象として、一流の講師陣をお招きしての最先端の独創的研究を学ぶ勉強の場と、参加者同士の積極的な学術的・人間的交流の場を提供することを目的としている。一つの会場にて3泊4日の合宿形式で行うことで、講師を含めた参加者同士の緊密な交流を図る。
テーマについて

第54回夏学のテーマは、“My Biophysics, Your Biophysics 〜君と学会したい〜”としました。このテーマを採用した背景として、「生物物理学の多様性」があります。生物物理学は、生命を理解する事を大命題とし、生物学と物理学を主軸として、化学、情報科学、医学、農学、工学等、多種多様の学問で成り立つ学際科学であります。研究の対象も生物集団から電子まで多岐にわたります。当然、理論・実験・計算による研究手法も極めて多様となり、かつそれぞれが高い専門性を持ちます。例え同じ研究対象であっても、「その研究対象の何を、どのような方法で、どのように証明して行く事が、生命の本質的理解につながるのか」という考え方のレベルから、「生物物理学」には非常な多様性が存在すると我々は認識しています。
 そもそもの考え方の違い・それぞれの専門性の高さが敷居となり、分野横断的な学術的・人間的交流を持つ機会は多くありません(専門性の殻の中に閉じこもる)。またその中で、大学院生のようにこれから研究に邁進していこうとする若手は、

・自分のやっている研究はどのような「生物物理学」なのか

・自分のやりたいことを突き詰めるためにどのような「生物物理学」をやっていけば良いのか

・どのような「生物物理学」が世の中に存在するのか

・どのような「生物物理学」が自身の考え方・興味にマッチしているのか

・多様な「生物物理学」の中で自分の「生物物理学」はどのような位置づけにあり、他とどのようなコラボレーションがあり得るか

等、多様であるが故の問題を持つ方も多いと思われます。
 上述の問題を解決するためには、多種多様な専門・手法の人間を集めて研究講義をし合うだけでは十分ではなく、「どのような思いで、どのような生物物理学を目指しているのか」という根本的な考え方も含めて、講師にも参加者にも露わに語って頂く事が重要と我々は考えました。「あくまでも他分野、そういうやり方もありますね」という立ち位置で他人の研究をただ学ぶのではなく、講師も参加者も含めて、考え方の違いから衝突する事を恐れずに、互いの「生物物理学」について存分に議論していただき、1つではない多種多様な生物物理学(Your Biophysics)への理解を深めると同時に、自身の突き詰めたい生物物理学(My Biophysics)は何かを改めて明確にし、今後参加者それぞれのMy Biophycisを発展させていく上での羅針盤となるような会にしたいという思いを、“My Biophysics, Your Biophysics”というテーマに込めました。また、上述したような参加者同士の熱い相互作用を起こしたいという意味で、「〜君と学会したい〜」というサブテーマをつけました。

Contents

第54回夏の学校は、下記のプログラムに沿って開催する予定です。夏の学校における初の試みとして、プログラム2日目は“Girl’s summit”と題しまして、全て女性の講師による講演・パネルディスカッションを企画致しました。また、テーマ“My Biophysics, Your Biophysics”に基づき、全ての講演では「どのような思いで、どのような生物物理学を目指しているのか」という先生方個々人の研究に対する根本的な考え方を露に語っていただきます。 次項で、各コマの内容を説明させていただきます。
オープニングセッション

地球生物学者・宇宙生物学者である高井研先生にご講演頂き,「地球という境界条件・拘束条件」のもとで繁栄した地球生命の特殊性だけでなく,普遍的な生命観「生命とは何か?」「生命の起源は何か?」という素朴で根源的な問いについて、先生と参加者でとことん議論してもらう予定です。


グループディスカッション
夏の学校参加者を少人数グループに分け、グループ内で自己紹介と共に研究内容を発表しあっていただき、参加者同士の研究・人間交流を促す企画です。グループ替えは4回行います(1グループあたり 30 分)。


Girl’s summit

これまでの夏の学校では初となる、女性研究者のみによる講演およびパネルセッションです。昨今、男女共同参画に関連した議論・取り組みが行われつつありますが、若手の会ではこの問題に真面目に取り組んでは来ませんでした。今後の研究界を担っていく若手こそ、現在の研究界にある問題の現実を知り、取り組まねばならないとの反省から、今回の企画に至りました。  まずそれぞれの先生方に、女性研究者ならではのご経験談を交えながら、ご自身の生物物理研究に関して講演していただきます。後半のパネルディスカッションでは、参加者から事前に収集した質問・討論のテーマ(男女共同参画・女性問題に関連して)から適当なものをピックアップし、先生方と若手を交えて議論を行ないます。


シンポジウムAおよびシンポジウムB

シンポジウムAおよびBでは、2人の先生に連続して講演していただき、その後参加者を交えて45分間の討論を行ないます。研究対象のスケール・研究の方法論が全く異なる(ように見える)先生にセットで講演していただき、「生命を理解する」という大命題に対し、それぞれの研究(方法)がどのような貢献ができてどのような側面を知る事ができないか、どちらがより本質を知る事ができるのかといった点について、参加者も含め露わに討論する事を狙っています。


クロージングセッション

バイオインフォマティクスの専門家である由良先生に、まずご自身の研究の話をしていただきます(1.5時間)。その後、「ハンズオンセミナー」として1時間、参加者に手を動かしながら楽しんでいただけるような企画を考えています(例えば、参加者にパソコンを持参していただき、「相同性蛋白質を見つける」等として由良先生 vs. 参加者で勝負する、等)。


ポスターセッション(各日 夜)

各日の夜に、時間制限無しでポスター発表を行っていただきます。講師の先生による講演と同様、自らが目指す“My Biophysics”の神髄を紹介していだくことを徹底することで、生物物理学が多種多様な哲学・方法の集合であることを実感していただくことを目指しています。また、今後研究を続けていく上で財産となる人的ネットワークを作る場として、また単純に人との相互作用を楽しむ場としても位置づけています。