私達は、今回の生物物理夏の学校のテーマに、「生物物理学とは何か」を掲げました。ここでは、私達なりの「生物物理学」を定めて、今年のテーマを「生物物理学とは何か」と決めた理由を説明したいと思います。

・生物物理学とは  私たちは生物物理学を、『様々な分野で培われてきた知識・経験から、生命現象の各階層における物質科学的基礎の理解と各階層を繋ぐ原理原則を見出すことを目的にしている学問である』としました。
 その特徴は、生命現象の理解という同じ目標の下で、多様な学術分野が交流をすることによって創発される知(注1)だと考えています。従って、生物物理という分野では新しい実験技術の開発や知の集積によって各方面で年々求められる研究は移り変わり続けており、「文脈」「研究者」「時代」によって生物物理の具体的な表現は異なるものと考えました。

(注1)創発:集合することで個々からは予想できなかった機能が発揮されること

・「生物物理学とは何か」というテーマを選んだ理由


 生物物理学において若手研究者が果たすべき役割は、「文脈」「研究者」「時代」によって表現が異なる生物物理学に、「新たな1ページ」を加える事だと考えました。そして、若手研究者が今なすべきことは、どんな「新たな1ページ」を目指すべきかを見出すことではないかと考えました。
 「生物物理学とは何か」という問の答えは、「文脈」「研究者」「時代」によって異なります。「多様なバックグラウンド」をもつ「講師」による生物物理学の「これまでとこれから」についての講演を若手研究者が主体的になって議論し考えることで、次の世代を担う若手研究者が「目指すべきもの」を見出すきっかけを、このテーマを設けることでつくりたいと考えました

(文責:副校長 永幡 裕)

新しい夏学(今年新たにした取り組みについて)

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