講演概要

光武 亜代理

分科会 (Sep 2, 2025)

化学物理の手法を用いた分子シミュレーションによるタンパク質の研究

光武 亜代理

明治大学 理工学部 准教授

#分子シミュレーション手法#溶媒和#動的データ解析#フォールディング#Gタンパク質受容体

高校生の時、岩波新書やブルーバックスで「生物物理」という言葉を知った。思い出すと、生物物理学会が出版していた「生物物理の最前線」も読んでいた。多分、この本で「生物物理」を知ったと思う。一番印象に残っているのは岩波新書の「超ミクロ世界への挑戦」という本だ。なんとなく「生物物理」って面白そうだと思い、物理学科に入学した。すっかりこのことは忘れていたのが、「生物物理」に関する計算をしている研究室があり、それから長い研究生活になった。プログラミングは大学から始めたが、理論で予測した通りの結果が得られるのが単純に面白い。化学物理の理論が数値的に反映され、妥当な結果が得られるのが面白い。サンプリングの手法開発の時も楽しかった。溶媒効果を取り入れるRISM理論は液体論という理論がベースで、プログラムを使わせてもらうと(自分では作ってないので)、タンパク質の周りの水分子やイオンの分布が計算できるのは本当にすごいと思う。解析手法である緩和モード解析に関しては、方法の理論を聞いた時、何を言っているのだろう?という感じであったが、実際にタンパク質のデータに応用すると、いつも面白い結果が出て、結構おーっと思う。色々大変な時に、ふと、あれ?応用研究したかったのではと思い出し、今までの方法を応用研究に使いたいと思った。幸いにも実験研究者と共同研究も始まり、パワフルな学生さんもきたのでGタンパク質受容体に関する研究を開始した。講演では、これら手法(特にデータ解析部分)や、最近の研究について話す。