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蛋白質の立体構造解析に対するイメージは,どのようなものをお持ちでしょうか?ここで,立体構造解析としては,NMR,(X線)結晶構造解析,クライオ電子顕微鏡単粒子解析(SPA)を取り上げるとします。これらの手法によって分子構造解析をしたことがある人なら,難易度に関わらず,形が見えてきたときはそれなりに達成感を持ちつつも,さらなる課題を具体的に考えることができたと思います。これらの手法を用いると比較的ルーチン的に立体構造解析ができることも増えてきました。解析が簡単になったとしても,これらの手法の背景にある物理・数学理論はどれも高度なものです。一部のtalentedな科学者は,解析のためのソフトウェアを書くことができます(私はできません)。一方,通常の蛋白質研究者がどこまで理論を知りたいと思うかは,個々研究者のスタンスがあるでしょう。高度なプログラミングができなくても構造解析手法論を勉強したからこそ,立体構造解析そのものではない「構造を意識したオリジナル研究」ができるとも考えられます。何を構造解析するか,や,構造情報をどう利用するか,そのあたりを題材にして, 無限にある現象からどのように研究テーマを設定するかを考えたいと思います。