summer school

第56回生物物理若手の会 夏の学校(9/2〜9/5)

無生物から生物の科学

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 生物物理若手の会 夏の学校は,生物物理周辺分野を研究する,もしくは興味を持つ学部生・大学院生からPD,助教などの若手が一同に会し,分野の垣根を越えて自主的に交流するための合宿形式研究交流会です.

 本年で第56回を数える夏の学校は,1961年に大沢文夫氏(当時 名古屋大学所属)らにより日本生物物理学会に先駆けて開催されて以来,意欲ある若手研究者の交流の場として親しまれてきました.現在生物物理を中心に各方面の最先端で活躍している研究者には当学校に関わった経験を持つ方も数多くおられ,日本の生物物理の発展に大きな寄与をしているといえます.

 本年の夏の学校では,近年益々多種多様化に拍車のかかる生物物理分野の風潮を踏まえ,学術的・人的交流を通じて参加者各々が自らの立ち位置を再確認し,今後の発展の方向性を模索する4日間を目指しプログラムを組んでおります.

「無生物から生物の科学」
 「生物物理」と一口にいっても,その扱う対象は広く,分子,タンパク質,細胞から,生物個体,群集と,時間空間ともにスケールが大きく異なります.さらに手法で見ても,大きく分けて実験・計算・理論,その各々の種類・視点・適用範囲は多岐に渡ります.さらに近年では,実験技術の向上や,非線形科学・非平衡物理の理論的発展,スーパーコンピューター京の稼働,機械学習などの情報処理手法の進展に伴い,研究者のバックグラウンド・問題の切り口含めて,さらなる広がりを見せつつあります.

 このようにますます多種多様化を極める生物物理ですが,対象・アプローチ・スタンスは異なれど,生命を統合的に理解するという大目的に端を発していることには変わりないはずです.では,その「生命を理解する」という命題に立ち返った時,我々は今どこまで理解できていて,これからどこに向かえばよいのでしょうか?特に研究を始めて間もない若手は,その広大さに途方にくれるはずです.

 そこで今回は,「無生物から生物の科学」と題して,物質と生命の違いはなんだろうか?という誰もが一度は抱くであろう純粋な問いに今一度立ち戻り,「生命」を「理解」するにはどうすればよいのかを,参加者・講師を巻き込んだ双方的な議論を交えながら問い直していきたいと思います.これらを通して,単に多様さを認め合い面白がるだけでなく,そこから一歩踏み込んで参加者各々が自らの立ち位置を見つめ直し,生物物理の新たなフロンティアを見つけ出すきっかけをつかめればと考えております.

昨年の開催時の様子