夏の学校とは?

生物物理 若手の会 夏の学校(以後、 夏学)は生物物理学を専攻している、 あるいは興味を持っている全国の大学生・大学院生・若手研究者(PD・助教・企業研究者など)を対象とした研究会です。 生物物理学は物理的手法・視点によって、生物を根本から理解することを目指す分野であり、 蛋白質や核酸などの生体分子から細胞・個体まで幅広い階層を扱います。 研究には実験的解析のみならず、シミュレーションや理論的解析も含まれており、 実験と理論の両側面から研究が進められています。
本夏学は日本を代表する生物物理学者である大沢文夫氏が発起人となり、 1960年に開校されて以来、毎年開催されております。今年で第61回を迎えます。 生物物理学を中心とした様々な分野において活躍する研究者を輩出した実績をもつため、 本夏学は日本の生物物理学を中心に、幅広い分野の発展に大きく寄与していると言えます。


本年の夏学の特徴は?

第61回夏学では『生物物理学の多様性を学ぶこと』を重視することにしました。前述の通り、生物物理学は生体分子から個体にまで及ぶ非常に幅広い分野をカバーしている学術領域です。また、近年では大学・研究機関だけでなく企業においても実験と理論を跨いだ革新的な研究展開がされており、我々の生活への恩恵も大きくなっています。昨今のコロナ禍においてはCOVID-19に対する薬・ワクチン開発のために構造解析や分子動力学シミュレーションなどの生物物理学的手法が駆使されました。これは間違いなく生物物理学が生命の理解の最前線にある学問であることを示しています。今後、情報処理技術や生体分子の操作技術がさらに向上していく中で、生物物理学に関わる私たち若手研究者には自らの分野に囚われない広い視野を持って連携することが求められています。そこで、今年の夏学では以下のテーマを掲げました。


「生物物理×◯◯ ~生命に迫る無限のアプローチ~」

第 61 回夏学は新型コロナウイルスの感染拡大防止のためオンラインで開催します。

● オープニングセミナー
日本の生物物理学の創設者である故大沢文夫名誉教授の教え子でもあり、エクソン・イントロン構造の研究(GO Plot)からタンパク質の立体構造の単位であるモジュールの概念を初めて提唱した郷通子先生をお招きします。

● 論文執筆セミナー
研究者にとっては欠かせない英語での論文執筆に関するセミナーを株式会社ユー・イングリッシュの中山裕木子氏に行っていただきます。
リアルタイムでの添削など、インタラクティブな講座を企画しておりますので、お楽しみに!

● セミナー
幅広い生物物理学の学びを実現するために、7つのカテゴリーのセミナーを設定しました。
セミナーのカテゴリーと講師の先生方は下記の通りです。
① 構造生物学:加藤英明 准教授(東京大学)
② 数学:千葉逸人 教授(東北大学)
③ 普遍生物学:古澤力 教授(東京大学)
④ スライドデザイン:片山なつ 特別研究員(千葉大学)
⑤ 合成生物学:市橋伯一 教授(東京大学)
⑥ アクティブマター:西口大貴 助教(東京大学)
⑦ 計算生物学:冨樫 祐一 教授(立命館大学)
講演後に、その日に講演をされた先生方とお話しする時間として「座談会」を設けました。
講演時間内に聞けなかったことや先生に聞いてみたいことを、講演よりも近い距離感で話し合える絶好の機会ですので、ぜひご参加ください。

● 特別講演 「生物物理×コロナ禍」
最終日には「生物物理×コロナ禍」と題した特別講演を企画しています。
生物物理という学問が実社会にどのように還元されているのかを、最前線に立つ2名の先生方に講演していただく予定です。
・ 奥野恭史 教授 (京都大学)
・ 上野隆史 教授 (東京工業大学)

● ハラスメント対策講座
しばしば学生・若手研究者の悩みとして生じるハラスメントについて、原賀学先生(名古屋大学 ハラスメント相談センター相談員)を講師にお招きし、ご講演していただきます。
本講座では研究室におけるハラスメントへの対処方法、また自身がその加害者にならないようにできることを学ぶことを目的としています。

● 懇親会
今年度の懇親会は、バーチャルオフィスツールを用いて行います。
冒頭では例年同様のフラッシュトークを行っていただきます。 その後はオンサイトでの懇親会に近い形で、参加者同士で自由に交流ができるようにいたします。 講師の先生方にも任意で参加をお願いしています。先生方とお話しするまたとない機会です。 ぜひご参加ください。
※飲食物は事前に各自でご用意をお願い致します。

● 研究発表会(BPSS2021’s Science Talent)
オンライン開催のため中止いたしました。

● オンラインポスター発表会
発表希望者には、事前に発表内容を簡潔にまとめたアブストラクトとポスターを提出していただきます。
オンラインポスター発表会は、内容に興味をもって話を聴きに来てくれた人に向けて発表する場となっています。 話し手にとっても気負わずに発表できる機会であると同時に、聴き手も質問しやすい環境です。 活発な議論が生まれることを願っています。
今年度のオンラインポスター発表会は、Slackと会議開催アプリを使って開催する予定です。
詳細は後日お知らせします。